1.BIM概論

■BIMとは

BIM、、、当初は「びーあいえむ」と言う人もありましたが、今では殆ど「びむ」と読まれます。 BIMに馴染みがない人は、パソコン関連ということでIBMと勘違いしたり、健康管理に関心がある人は、BMI(ボディマス指数:Body Mass Index)と間違ったりすることもありますが、BIMとは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略です。 これまでの建築設計図の作成方法は手書きまたはパソコンの2D_CADソフトを使って、1枚1枚平面図や立面図などの図面を作成していましたが、BIMではコンピュータ上に3Dの建築モデルを作成します。 その一つのモデルから平面図、立面図、断面図などの図面を生成していくので、図面間の整合性がとれます。 また、面積もモデルから自動集計しますので、壁の位置が変更されると自動的に変更されます。 更に仕上げや工程、コストなどの様々な情報を持たせることができ、様々なシミュレーションにも活用できます。 BIMを導入すれば、これまで多かった図面の不整合性が殆どなくなり、建築の生産性が飛躍的に向上するので、「建設革命」とまで言われています。 そのように素晴らしい夢のような手法なので、私はBIMは「美夢(びむ)」だと思っています。 勿論、夢に終わる夢ではなく、実現して私たちを幸せにする夢です。 その夢のBIMの世界にこれからご案内します。

BIM元年

下記の本は2009年に発刊された山梨知彦氏の「■BIM建設革命」という本ですが、まさにBIMが導入されれば建設業界が一変します。 18_03_01_01 この2009年が日本におけるBIM元年と言われています。 私自身も2009年にこのBIMの概論を聞いて感動し、即BIMソフトであるRevitを導入してBIMで設計した東京都の物件が翌2010年に完成しました。 これが先駆的なBIM実例ということで、建築知識2010年5月号に下図のように掲載されました。 18_03_01_02

■建設業の生産性

「BIM建設革命」にも書かれていますが、建設業は「構造的低収益体質」です。 下図は労働生産性の推移をあらわしていますが、他の産業が作業効率を上げているのに、建設業は、まさに低収益体質を改善できぬままでいます。 18_03_01_03

■2DCADとBIMの生産性の違い

ではなぜこのように作業効率がなかなか上がらないのか。 例えば、下図のような業績一覧表を作成する場合で考えてみます。 その時に、図の上部を作成したAさんはパソコンでエクセルを使ってはいますが、合計や平均の計算を手元の電卓を叩いてその結果を手入力していました。 それに対して下部を作成したBさんはエクセルの関数機能SUMやAVERAGEを使って自動計算しました。 18_03_01_04 この作業効率の違いは明らかで、Aさんの手法ではパソコンは使っているが、時間がかかるし、計算間違いもしやすい。 Bさんの手法では、作業時間も早く、(関数の入力方法を間違っていなければ)計算ミスもない。特にあとでデータが変わった場合にはリアルタイムで再計算結果がでます。 このAさんの手法が従来の2D-CADを使った方法であり、Bさんのやり方がBIMによる設計手法なのです。 双方ともパソコンを使っていますが、作業効率の差は歴然です。 面倒な単純計算はパソコンが得意なので、そこはパソコンに任せましょう。 BIMによる設計では、作業効率があがり、図面間の食い違いが激変し、更に今までできなかった様々な解析、シミュレーションができます。

■美夢

私のBIM講座を受講されたある人から以下のようなメールが届きました。 ======================================== BIMに興味を持った理由は、現場で実施設計をしている時に、 インターネットの世界はこんなにも便利なのに、 建築の世界はどうしてこんなめんどくさい作業が多いのだろう と感じていたからです。 不整合の発見、検討、質疑等など。 正直、この殺伐とした建築の世界から逃げ出して、 他の業種に転職も考えておりました。 しかし、お話を伺い、何か新しいものが生まれる予感がし、 もう少し建築の世界で生きてみようという気持ちになる事ができました。 建築の世界に希望の光を与えて頂いたことに感謝いたします。 ありがとうございました。 ======================================== 建築は本来、夢に満ちた業界です。 BIMの普及で建設業界に光が差し込み、魅力ある業界に少しでもなればと思って、私はBIM普及活動をしています。

■BIMの普及状況

このように革命的な手法なので、海外ではBIM化がかなり進んでいます。 ・シンガポールでは、2013年から20,000㎡、2015年からは5,000㎡を超える建物の意匠設計の確認申請は、BIMでの電子申請が義務化されています。 提出されたデータの法規解析もソフトで行われています。 ・アメリカでは2010年頃から急速に普及が進み、大手建設会社で約9割、中小建設会社でも6~7割が導入していると言われています。

■BIMのメリット

下図は私がBIMを導入する前の2D-CADを使って設計をしていた時の時間の配分と BIMを導入してからの時間の配分の比較を表したものです。 18_03_01_05 BIMに移行するとBIMならでは仕込み作業時間が発生しますが、単純作業が激変し、トータルでは作業時間が減ります。 以下は実際に導入した人の生の声です。 ・利益率が8%から30%になった。 ・基本設計では作図時間が半減、実施設計では20~30%減となった。 徹夜もしなくなった。 ・残業しなくても帰りたい時には帰れるようになった。

■BIMのデメリット

このようにBIMの導入メリットは多々ありますが、逆にデメリットもあります。 ソフト習熟のハードルが高く、また難易度の高い3Dモデルは制作に時間がかかる ということです。 そのため、なかなか普及が進まないようです。

■「平B式」

このデメリットを解決する手法として、 「平面図からはじめるBIM方式」、略して「平B式」を推進しています。 それを1冊の本に凝縮したのが幣著、 「Autodesk Revit ではじめるBIM実践入門」です。 18_03_01_06 詳しくは次回以降で説明していきます。 以上