Q

189 自炊ってどうなんでしょう?法律違反にはなりませんか?

友人で、手持ちの本をスキャンして電子書籍化している人がいます。 いわゆる自炊ですが、これは法律違反にならないのでしょうか?

A

私的利用を目的に本人が行うのはOK。自炊代行はNGといわれています。

スマートフォンやタブレットの普及によって、日本でも電子書籍が広まってきました。 ・コンパクトに持ち歩ける上、収納スペースを取らない。 ・文字サイズやコントラストを調整して読むことができる。 ・手軽に割安に購入できる などが、電子書籍を選ぶ主な理由でしょうか。 ただ、電子書籍のラインナップに関しては、まだまだ乏しいと言わざるを得ない現状。 読みたい本が電子書籍になっていない場合も多いですね。 そんな中、広がり始めたのが「自炊」です。 一般的に購入した書籍のページを裁断したりしてバラバラにし、スキャナーで読み込んでPDF化する行為を指します。 (自分で吸い込むが語源だとか) 本の裁断や両面スキャンなどには機材が必要で手間もかかるので、この自炊行為を有料で代行する「自炊代行」業者もいます。 「自炊」は、本という「著作物」を「複製」する行為に当たります。 著作権法第30条には、私的使用のための複製という項目があり、 個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。 という一文があります。 ◆e-Gov(イーガブ) (総務省が運営する総合的な行政ポータルサイト) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html つまり、個人的もしくは家庭内など限られた範囲で使用するのであれば、自分で複製してもよいというわけです。 この「自分のために自分で複製してもよい」という点で、「依頼者のために複製を行う」自炊代行は法に抵触するということで、出版社や著作者が自炊代行業者を相手に訴訟を起こしたりもしています。 (訴訟の結果は出ていません:訴え先の業者が廃業したため訴訟が取り下げられました) 今でも、「自炊代行」「スキャン代行」で検索すると多数の業者が引っ掛かりますが、「複製を許諾していない作家の本の電子化はお断り」「私的使用が目的であれば受ける」と、そのスタンスはまちまちです。 もちろん、「海猿」や「ブラックジャックによろしく」の作者、佐藤秀峰さんのように、自身の著作権を行使しないことを明示している場合などは、この自炊代行もOKということになります。 現在、デジタル化時代に見合った著作権法にすべく、いろいろな改正が進んでいます。 CDやDVDが登場したときに著作権法がいろいろと取り上げられたように、電子書籍に関しても、しばらくは原稿の著作権法の問題が話題となるでしょう。 自炊は私的使用を目的に自己責任で!というのが現時点での回答となりますが、 個人的には、本をバラバラに裁断することに抵抗がありますし、紙の質感や判型に作者のこだわりを感じることもあり、作者の「電子書籍化したくない」という意向も尊重すべきと思っています。 皆様は、いかがでしょうか?

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